ウェーブロックホールディングスを支えるTEAM Wavelock。
仕事と向き合い、人と技術・素材の可能性を探求しています。
2020年から、未来を描くための社員インタビュー。
vol.4 社員の安全を守る感染防止対策と、ニューワークスタイルへの前進 |
2020年9月 |
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ウェーブロックグループで働くすべての社員を支える部門がある、WHD人事総務部だ。関連会社の総務部門の統括を行い、グループ全体の社員に関わる規定を定めていく。人事総務部は14名、そのうち総務課には5名が所属する。今回は、総務課長であるY.Sさんへのインタビューを行なった。前職から合わせて38年間、総務の仕事に携わってきたこの道のプロフェッショナル。社員ひとり一人が安全な環境で、より良いパフォーマンスで働くことができるように、社内の新型コロナウイルス感染防止対策を実行してきた。この日は、イノベックスが発売する高透明・不燃シートのパーテーション「クリアセーフ スプラッシュシールド」が設置された会議室で取材がはじまった。今春から続く感染防止対策と、さらなる発展を目指し、新しい働き方へ大きく舵を取るこれからの展望を伺った。
− 今日は総務のお仕事、さらに新型コロナウイルス問題への対応について聞かせてください。
Y.S はい、宜しくお願いします。総務は縁の下の力持ち、売上には貢献できないけれど、その売上を作る社員を支えるのが仕事。みんなが働きやすい環境を整備するのが仕事です。
− 具体的には、どんな業務を行なってこられたのですか?
Y.S 総務は会社のハード面、物や保険などの保証を管理している部門です。文書管理、資産管理、物品の管理、会社行事の運営、福利厚生、危機管理対応。いわゆる「何でも屋」なんですね。また、ここ数年は反社会的勢力への対策も強化してきました。私は、警視庁が組織する警視庁管内特殊暴力防止対策連合・築地地区特殊暴力防止対策協議会の副会長を担当していましたので、その経験を活かして今後もさらに反社との関係断絶に引き続き活動していきます。現在は、これまでの業務に、新型コロナウイルス対応がプラスしたような形ですね。
− リモートワークへの対応はどのように始まったのでしょうか?
Y.S 実は弊社の働き方改革は、新型コロナウイルス問題の以前から準備が始まっていました。2020年は東京オリンピックが開催される予定でしたので、開催期間と前後10日程はテレワークを推進してくべきではないかと考え、計画していたんです。そんな時に新型コロナウイルスが発生しまして、リモートワークを即実行しなくてはならなかった。でもゼロからではなく、ある程度の基盤はできていましたから、割とスムーズにテレワーク環境が整ったのかなと思っています。
− 現在(9月時点)、どのような勤務体制をとっているのでしょうか?
Y.S 総務課は5名いますので、週に1度、曜日別に輪番出勤しています。他部門の出社率は、部の人数の30%以下に抑えています。
− 基本的にはリモートワークなのですね。2月下旬から在宅で勤務できるようになったのですか?
Y.S そうです。Zoomや、後にMicrosoft Teamsを導入して、在宅でもオンライン会議ができるようにいち早く整備しました。
− 世の中でマスクが品薄の頃に、会社からマスクが支給されたと伺いました。全社員に配布したのですか?
Y.S 全社員に50枚ずつマスクを支給しました。本当にマスクがない時期にかき集めて、海外の子会社から提供してもらって。なかなか大変でした。これは社員からも好評で、「助かりました」というメールもいただいた。始めの時期は、本当に駆け回りましたね。
− 新型コロナウイルスへの対応は、どのように進めていったのでしょうか?
Y.S この問題が発生し、WNN(ウェーブロック・ニュー・ノーマル)というプロジェクトとして対応していきました。当初は出社する社員が多いだろうと思っていましたので、まず社内での感染防止対策をできるところから、どんどん行いました。飛沫感染防止用パネル、消毒液の設置から、トイレのエアタオル廃止も早々にビル側に申し出ました。出勤時の社員の身を守り、その家族、関係者の安全を守るためです。
また4月から6月は、電車通勤を不可としました。自家用車を使う場合の経費は会社が支払い、自家用車がない場合はタクシーで通勤してもらう。私は、埼玉の自宅から車で通いました。地元でアクリル板を買って運んだりしたので、一石二鳥でしたね。千葉や神奈川からタクシーを使って通う人もいました。なるべくリスク回避を心がけるように社員にも呼びかけていきました。
同時進行で、川口に所有していた社有社宅を利用して、サテライトオフィスも立ち上げました。ちょうど3部屋が空いていたので有効活用できないかという話になったんです。古いマンションの一室なので、壁紙を張り替えて、床もフローリングに。内装工事も手伝いました。サテライトオフィスを作りたかった理由は、小さな子供がいるなどの理由で、在宅では仕事に集中できないという社員の声があったからです。
川口のサテライトオフィスは一部屋1名で使用できる安全な職場になっていると思います。また、台東区とつくばにも賃貸物件を借りて、サテライトオフィスを作りました。今後もこのスタイルを増やしていければと思っています。
それから、社内の飛沫感染防止用パネルの設置です。こちらはとにかく、時間との勝負、1日も早く設置しなくてはと思っていました。弊社は軟質のプラスチックを製造しておりますが、飛沫防止パネルとして自立できるものが当時は自社製品で作れなかったんです。ホームセンターでアクリル板を探し、そこのおじさんと顔見知りになって、カットを手伝ってもらいました。カットしたアクリル板の固定はブックエンドを試しました。これが、ちゃんと立ったんです。
他拠点にも必要数を聞いて、配っていきました。この作業が一番きつかったですね。自分たちで作ったので、コストはかなり安く抑えられました。コストを抑えることは我々総務の使命でもありますからね。めちゃくちゃ忙しかったです。
− 輪番出勤で1名しか出社できないなかでの対応ということですよね?
Y.S そうです。私だけでなくみんなが、出社すると消耗品の確認もしなければならない。消毒液なども全部補充していきます。そんな風に駆け回っていたので、私はメンバーからは「S工務店」と呼ばれています。たまたま私の個性で、ものづくりが好きなんですね。社内の便利屋ですが、言葉だけじゃなくて、まず自分で行動することだと思っています。
総務課は、良いメンバーが集まっていると思います。フットワークの軽い人、通信系が得意な人など、みんなの個性を生かして動けた。頼りになる仲間たちです。
緊急の新型コロナウイルス対策を行いながら、様々な課題をブラッシュアップし、必要な仕組みづくりを進めていった。緊急事態宣言解除後には、グループとしての新たな日常をガイドライン化した「ウェーブロック・ニュー・ノーマル(WNN)」を制定し、7月1日から実施した。
− 特に難しかった部分はどのあたりですか?
Y.S 飛沫感染防止用パネルを作るのに苦労しましたが、あとはガイドラインの作成ですね。何を制限すべきか、何を解放すべきか、情報収集してWNNを作っていきました。
− WNNの内容は、どのように考えていったのですか?
Y.S まずカテゴリを分け、それぞれの運用の方針を決めていきました。オフィス、会議室、リフレッシュルーム(本社)、業務オペレーション、オフィスへの出勤体制について、という形です。例えば、オフィスについては、パネルパーテーションを置く。会議室では、定員をこれまでの2分の1とする人数制限をかけるなどしています。同時に、7月1日から電車通勤できるようにしましたが、通勤時の密を避けるように、時差出勤を呼びかけました。
− 様々な課題があるなかで、何を一番に重視して対応していきましたか?
Y.S 従業員と家族の安全。それが第一です。そのために感染防止対策を最優先にしました。我々はメーカーなので物を作らなければ会社の存続が危うくなるのかもしれませんが、何よりもまずは従業員の安全が第一。それは、弊社の社長の考えでもあります。そういう考えの社長で良かったとしみじみ思います。安全のために、何ができるかということを、総務ではずっと考えていました。
− 社内から、新型コロナウイルス対策の製品が次々に作られていきました。そうした他部門の動きは見えていましたか?
Y.S もちろんです。例えばフェイスシールドを発売するにあたっては、購入されたお客様のことも考えて保険の見直しを行います。総務は、商品を売る際のリスクを回避するのも仕事ですから、商品開発のバックアップも行っていました。
− 今、改めてウェーブロックの特徴や強みについて感じていることはありますか?
Y.S ウェーブロック・アドバンスト・テクノロジーの飛沫感染防止用フェイスシールドや、イノベックスの飛沫感染対策クリアセーフ スプラッシュシールド等、グループ全体で新型コロナウイルス対策に有効な製品も製造販売しています。我々はプラスチックメーカーです。プラスチックは一般的に環境汚染の素材として見られがちではあります。それでも現代社会においてプラスチックの位置付けは、人々が生活するのに必要不可欠な素材だと思っています。環境汚染対策、廃プラの削減、リサイクルにも積極的に取り組んでいますが、今後、自然環境の保全にも貢献できるように取り組んでいけば、さらに良いプラスチックメーカーになるのかなと思っています。
− リモートワークで社員から寄せられた相談はどんな内容がありますか?
Y.S 通信関連の相談が多かったです。現在では、リモートワークが中心となる対象者全員に携帯電話を支給しています。
− 細かなストレスなどの情報はありましたか?
Y.S やはり、コミュニケーション不足についてですね。私もそうですが、人の顔をみて笑いながら仕事するのが好きなんです。家族としか会えないと、人恋しくなる。WEB会議は有効ですが、近くにいて相談できたほうが、話は進むように感じました。「ホウレンソウ(報告、連絡、相談)」がしづらいという声は、実際に聞いています。何か良いアイデアはないかなと考えています。これからも在宅勤務を継続していくうえで、会社のみんなが一体感を持てるようなイベント開催等、総務としてコミュニケーションが取れる企画を考えていくことも使命だと思っています。
− 時差出勤の仕組みはどのように決めているのでしょうか?
Y.S 柔軟に対応するため、本社オフィスに関しては「フレックスタイム制度」を採用しました。私も今朝は7時40分から出勤しています。なるべく密にならないよう行動してもらう仕組みにしています。
− 新しい働き方が始まり少し時間が経ちますが、この変化をどのように捉えていますか?
Y.S 社員はみんな新しい働き方を受け入れてくれているので、助かっています。少し強引ではありましたが、テレワークやサテライトオフィスの環境がある程度整い、今後新型コロナウイルスの問題が収束したとしても、この働き方を継続して活用できると実証できたと思います。これがゴールではなく、テレワーク体制を続けるのであればそれに対しての課題をクリアしていく。この働き方改革を続けていきたいですね。
− 今回の危機管理から、今後に生かしたいこと、実現していきたいことなどあれば教えてください。
Y.S いざという時の迅速かつ柔軟な活動。今回は特にスピードが重要であることを実感しました。さらなる危機管理対策につなげていきたいです。
また、9月より「ニューワークスタイル・プロジェクト(NWS)」を立ち上げました。新型コロナウイルス感染防止の観点だけではなく、この問題が収束したあとも、働き方改革としてリモートワークを中心とした体制を継続させていきたいと考えています。
現在、世の中のデジタル化のながれは加速しています。これに乗り遅れることなく、グループ全体の未来を見据えて、ビジネスの在り方、そこに従事する我々の働き方、考え方を変えていく必要があります。多数ある対応事項の第一弾として、10月1日からは、在宅勤務が中心となっている従業員の「通勤交通費の支給方法の変更(定期代支給から実費支給)」と「在宅勤務手当(一時金・月例)の支給開始」を行っていきます。
今後は、サテライトオフィス設置や、時間制のシェアオフィスの契約なども検討し、本社オフィスの在り方も見直すべきだと考えています。働き方改革のさらなる一歩を、進めていきたいと思っています。
− 最後に、ご自身ではじめた、新しい習慣などはあれば教えてください。
Y.S リモートワークで通勤がなくなったために、早朝や夕方に1時間程度ウォーキングしています。体力づくりは続けていきたいと思います。私は阪神タイガースのファンなので野球が見られない時期は辛かった。今はテレビ観戦を楽しみにしていますね。
それから、まだ幼い孫たちがいるので、幼稚園や保育園が始まるまで在宅勤務は大変でした。この子たちのためにも、これからも頑張りたいと思っています。